カンカン照りの午後。

東横線。太めのウエストにウエストポーチをぎゅっとつけた丸々お母さんが、三歳くらいの男の子と一緒に乗り込んできた。丸坊主に麦わら帽子。ボトっと何かを落とした。大きなカブトムシ。自分で「ばか」とつぶやきながら拾ったのを見上げるとなんと両手にカブトムシ。次の駅。お母さんが手を握ろうとしたのを振り払い、ひとりでホームにジャンプした。カブトムシもジャンプして、電車とホームの間に落ちていった。男の子はギョっとして走り回り泣きじゃくった。ホームの上に寝転んで手足をバタバタさせて「戻ってきてぇ!」と叫んでいた。きっと今頃カブトムシも同じようにバタバタしているに違いない。

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