お気に入りの各務ヶ原図書館でふらふらと本棚の間を散歩していると、こんな本を見つけました。学生時代にひそかに好きだったブリューゲルの「雪の中の狩人」に似てるなぁと思い手にしてみると、国も時代も全く違う人の絵でした。(ちなみにブリューゲルの「バベルの塔」も大好きです)
ちらっと中をのぞくと、今度はまた別のところで見たことのある絵に遭遇。去年のクリスマス時期、何度も何度も娘に読んだ本の絵でした。「サンタクロースがやってきた」という絵本の中にある「来年までさようなら」という絵でした。
グランマ・モーゼス(モーゼスおばあちゃん)と呼ばれるアンナ・メアリ・ロバートソン・モーゼス(1860~1961)は少女の頃から農家で働き、本格的に絵を描いたのは75歳になってからという。1940年に80歳で初めての個展を開いて「素朴画家」として世界中に名前が知れ渡り、101歳で亡くなるまで絵を描き続けた。(「本を旅する」さんより)
「サンタクロースがやってきた」の絵本はすでに絶版で入手できないそうですが、なかなか訳した日本語がおもしろくグランマ・モーゼスの絵もきれいだったりおもしろかったり娘と毎晩笑って読んでいました。岐阜の図書館にもあるかな?(逗子の図書館にはありました!)私は農村風景が大好きで田んぼが広がったり高原だったり森や木のあるところ、山が見える景色などを目の前にすると、いくらでもボーっとすることができます(笑)。ふんわりとして細かいグランマ・モーゼスの絵も一気に大好きになりました。この「モーゼスおばあさんの絵の世界」は、彼女の自叙伝です。訳者の方がおっしゃるように、「しゃべるように書いてあるので脈絡が乱れたりして文学的、文法的見地から眺めると悪文に近い・・・」のですが、「小学校を終了していない彼女のありのままの文章をそのまま残した編者のすばらしさ」が感じられると思います。とにかくこの本には、どうして彼女がここまで成功したのか、有名な画家となったのかが一言も書かれていません。毎日家族の世話や農場の仕事などに追われ過ごした日々の話が主です。でも良く考えれば、75歳になってから本格的に絵を描くまでそんな時間はとてもとれるような生活ではなかったのです。私たちからはステキな絵を描くひとりの画家としか見えないけれど、人生は101年もあったのですから、あたりまえですよね。
読む人によっては退屈かもしれませんが、100年前の生活を身近に感じられて、想像を膨らませながら読むのは私にとってとても楽しいことでした。絵の情景を思い出しながら、どんな服装で、どんな気温で、どんな気持ちで過ごしたのか。現代の便利な世の中ではもう想像も出来ないくらい不便だったに違いないけど、それがあたりまえで苦労とも不便とも思わない、「普通の暮らし」だったんだなぁとこの年になってなんとなくすんなり頭の中に入ってきました(いまさら・・・で申し訳ない)。車も電気も何もないちょっと前の昔の暮らし。ジャム作りやバター作り、日々の生活のために一年中に消費する石けんづくりやろうそく作り。あたりまえだけど服だって自分でつくる。羊の毛をとるところからはじまってつむいで織ったり編んだり。あんまり仕事が多すぎて、女の子は教育を受けるひまさえなかったのですね。時代がすすんで服を買えるようになり車が道を走るようになり、今では料理だって手元のiPhoneで簡単にレシピが見つかる時代になりました。昔は生きていくためなのだから「お料理苦手で~」なんて言っていられなかっただろうな。そう思うと、少しはやらなきゃ、と反省するのです。
ついでに他にも最近読んだ本を紹介すると、「学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ」(笑!)これは私が、小学3年生の姪っ子の誕生日に「今度貸してね」と言いながらプレゼントした本。何度も読んだというので、早速借りてきました。さすがにまんがは読みやすい!レオナルド・ダ・ヴィンチだって長い人生を送ったのに、こんなにかいつまんで語られちゃって・・・と思いますが、それでも他の画家との関係や時代背景、成し遂げたことなどを知るには十分。しかもすぐに最後まで読みきれるので、細部まで何度も何度も読み理解して覚えることができます。私の小学校時代、こういう本を読もうという情熱があればなぁ・・・。