The cotton conection

2013.04.25

Pines Lakeの家

IMG_0412やっと紹介できます。この1年ずっと取り組んできたキルトです(サイズは高さが約130cm)。制作には1年かかりましたが、構想にはなんと7年以上かかっています。というのも、依頼されたのがそんなに前だったという・・・いかにも私らしい(笑)話です。
ご依頼頂いたのは尊敬する友人のケイコさん。かれこれ12年ほど前、彼女も私も東京に住んでいました。同じ会社に勤めていたのですが、一緒に働けた期間はそれほど長くなかったと思います。それでも落ち着いた声・話し方が大好きで、雰囲気から何から憧れの人でした。そのうちに美味しい手料理をいただく機DSC_1624会などもあり仲良くさせてもらっていました。その後彼女はアメリカで暮らすようになり、私は逗子・岐阜と転々として今にいたります。その間にお互い同じ年頃の女の子を授かり、ニューヨークからニュージャージーの夢のような森の家に引っ越して、その写真を見せてもらった時には、いつか行ってみたいと強く思いました。その思いは人生最大の山場(仕事と子育ての激務)を迎えて、実現出来ない夢となって消えたかと思っていました。それがDSC_1647、ふと夫から「休もう」と提案されいきなり現実のものに。それも実際に現地に到着してから「そういえばずっとココに来たかったんだ」と気づいたくらい、私は後ろも前も見えていない状況でした。とにかく2011年の夏、家族で滞在させてもらったこのキルトにある家は、本当に素敵でした。ただの旅行ではなく、何となく自分を見失っていた時期でもあったので、友人ご家族の温かいおもてなしと森の木々や動物たちに毎日癒されながら過ごした数週間は私にとって貴重な時間でした。とにかくこの感謝の気持ちをキルトの端から端まで込めて作ったつもりです。

2011年夏アメリカ旅行記
http://blog.livedoor.jp/cotogoto/archives/2011-07.html?p=2#20110704

IMG_7742その時に出した決断に従い、いろいろなことを終わらせて、夫から「制作出来る時間」として1年をもらいました。岐阜へ来て1年。その間に集中して作ろう!とものすごいやる気で引っ越してきたにもかかわらず、なかなか集中力がなかったり、新しい環境に慣れようと頑張っているのに何もかもうまくいかない・・・など精神的に落ち込み苦しい1年を過ごしました。その間にコツコツと作り上げたキルトです。IMG_0978生み出すことの苦しさは手づくりをする人なら誰もが知っていると思いますが、今回はかなり悩みながらの制作でした。それでも最終的には無事に彼女に手渡すことが出来ました。先日日本に帰国した際にわざわざ我が家に寄ってくれたのです。いつか作ってね、と依頼されたあの時から今日までのこと、制作途中の苦しかったこと、短い期間だったけれどこの家で過ごした楽しい時間、たくさんのことをIMG_0979思い出して涙が出そうでした。ケイコさんは、お嬢さんが初めて住んだこの家をキルトとして残し、それをずっと持っていてほしいということで依頼してくれました。喜んでくれた顔を見て、心からホッとしました。
現地でスケッチをしたものや、たくさん撮った写真を見ながら絵を描きあげ、それらをテンプレートとして使うためにさらに詳細を描き込んで下絵を完成させます。次にそれを拡大して実際のサイズにし、そこから生地選びが始まります。生地は作りながらその場その場で選んでいきます。IMG_0116作り込んでから後で生地を変えることもしょっちゅうなので、かなりのロスはあります。しかし最初から決めておくことも出来ないので、やはり作りながらあれこれ生地を出してきてはその場所にピッタリの色柄を探し出します。行ったり来たり、何度も何度もそれを繰り返し、少しずつ進めました。いつかまたこのキルトに会いに、あの森の家に行きたいです。滞在させてもらった時にいろいろと決断したことがあります。それらをきちんと実行できているか?次回このキルトの前に立った時は自分はどんな人間になっているかな。楽しみです。ケイコさん、たくさんのことを学ばせてもらいました。本当にありがとうございました!

もうひとつこの1年の間に作ったキルト(こちらは小さいサイズ)があるので、また次回ご紹介します。

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